第1話 : 『笑う男』

【体験者:@管理人】 2003/09/26 公開作品


私がこの体験をしたのは、まだほんの小さな子供、小学校3年生ぐらいの頃です。
当時私は、書道教室に通っており、その教室は、とあるマンションの一室にありました。

いつものように小学校から帰宅し、私はカバンを下げて教室へと向かっていました。

そのマンションはエレベーターのないマンションで、階段をトントン上がって4階に着きました。
授業は40分ほど。いつものように終わり、私は帰路に就く為に玄関を出ました。

外は日も暮れかけて薄暗かったのを覚えています。

玄関を出てすぐに右へ折れ、渡り廊下を歩いて突き当たりの階段へ向かいました。
まもなく階段に着くかなという時にそれは起こったのです!

いきなりブルッ!と身震いしたと思ったら、全身ゾ〜と鳥肌だらけになり、激しい悪寒が走ったのです!
なぜ身震いしたのか解りません。
全身が鳥肌だらけになるぐらいに悪寒が走って、とにかく鳥肌が止まらないのです。
そして、私の頭の中に何の根拠も確証もないイメージが浮かんだのです!

『階段のトコに何かがいる…』

イメージというのでしょうか?何の根拠もないのですが、映像として見えてしまっているのです。

チェックのシャツを着た男で、真っ青な顔で、口が耳まで裂けたように笑っている人が階段を上がってくるんです!

それが私の頭の中で、映像としてハッキリ見えているのです!

『カンカンカン…』

『!!!!』

なぜか解りませんが、階段を上がってくる音までもがリアルに聞こえてくるんです!

『カンカンカン…』

『…』

『カンカンカン…』

幼心に相当怖かったんだと思います。
余りの恐怖に私はその場にうずくまってしまったようで一歩たりとも動く事が出来なくなっていました。

すると…。

『ズシャッ!!』

『!!!!』

まるで地面の石を革靴で踏み潰すような音が耳元で響き渡り、その後の私の記憶はありません…。

気がついた時には、私は自宅の部屋のベッドに寝かされていました。
気を失ったようになって渡り廊下に倒れていたところを先生に発見され担がれて帰ったそうです。

それから以後は、一切あのマンションに立ち寄る事は無くなりました。

後日、そのマンションでは飛び降り自殺が起こりました。
住民でも何でもない若い女性がマンションに入り込み、4階から飛び降り亡くなったそうです…。
私が体験してから、ものの2週間も経たないうちに起こった出来事です。

それを知った時、私の頭にはあの男の顔が浮かんできました…。
チェックのシャツを着て、真っ青な顔で、口が耳まで裂けたように笑っている男の顔が…。

あくまでも私の頭の中に残っているだけの顔なんです。
この目で見たわけでもないんです。

でも私は、あの男の顔を未だに忘れる事が出来ないでいます。
後にも先にも、私があんなにリアルに記憶に残る体験をした事はありません…。

あのマンションには、何かがあったのでしょうか…。